段階的に進行するお口のトラブル「歯周病」の治療期間と費用を解説  

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段階的に進行するお口のトラブル「歯周病」の治療期間と費用を解説
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歯周病は、年齢とともに気になりやすいお口の中のトラブルです。

年齢を重ねていくうちに有病率が高くなることで知られていますが、10〜30代の若い世代でも歯周病予備軍の方がみられます。

虫歯は歯が溶けていく病気ですが、歯周病は歯茎が炎症を起こす病気です。

初期段階では自覚症状がほとんどなく、虫歯よりも気づきにくいとされています。

症状の進行防ぐためには虫歯と同じように予防を習慣づけることが大切です。

この記事では、歯周病の治療にかかる費用・期間や治療方法を紹介しています。

自分でできる予防法もぜひ参考にしてください。

今や現代病!歯周病とは?

歯周病は、歯と歯のまわりに付着する歯垢や歯石(プラーク)の中に存在する細菌が毒素を出すことにより、歯茎に炎症が発生する病気です。

毒素を受けて歯茎の炎症が酷くなってくると、赤み・腫れ・痛み・歯のぐらつき(動揺)がみられ、放置していると歯槽骨が溶けてしまいます。

初期症状はほぼまったく痛みがなく、炎症が出始めるとようやく歯茎のトラブルに気づきます。

歯槽骨が溶けるまで放置していると、歯茎の本来の機能である歯を支える役割が機能せず、歯の動揺が発生し自然に抜けてしまいます。

抜けた歯は元に戻らず、歯茎も自然には再生しないため、早期発見・早期治療が大切です。 正常な状態の歯茎には張りがあり、ピンク色で引き締まっています。

歯との溝(歯周ポケット)は2mm以内で、しっかりと歯を支えています。

しかし、歯周病になると2mmを超える深さになり、歯と歯のまわりから歯周ポケットまで歯石が付着します。

歯肉が下がると、歯と歯の間隔が目立ってきます。

鏡を見て以前よりも歯のすき間が気になったときは、歯周病のチェックを受けましょう。

歯周病の治療でかかる費用と期間

歯周病の治療にかかる費用と期間は、初期段階から重度まで4段階に分けられます。

治療はほとんどの場合保険適用の対象となります。

ほぼ症状が気にならない初期から、歯の抜け落ちが発生しやすくなる重度まで、4つの段階をみていきましょう。

歯肉炎(歯周病の初期段階)

歯肉炎は、歯周病の進行度のなかでも初期の状態です。

部分的に軽い炎症から始まり、軽度・中等度に進行すると炎症の度合いが強くなっていきます。

治療費は3割負担で3,000円(税込)からが目安です。

症状が軽度であれば、検査・治療にかかる費用も抑えられます。

定期健診で初期状態を発見できれば、治療期間と治療費をかけずに治療が開始できます。

初期状態のうちに早期治療を開始することが理想です。

軽度

初期段階の歯肉炎が進行すると、歯周ポケット3mm以上の軽度な状態になります

歯茎が腫れてきて赤みがさし、歯ブラシをかけると出血がみられることもあります。

この時点でまだ痛みがみられない場合もありますが、治療としてはまだ中等度や重度ほどの費用はかかりません。

軽度の歯周病にかかる治療費の目安は、3割負担で5,000円(税込)程度です。

ただし、複数箇所で歯周病が発生しているときは、歯石取り・殺菌・治療後の経過観察までに数回通院しなければなりません。

※自費診療は保険治療よりも高額になります。事前にクリニックの料金体系や治療方針を確認してください。

中等度

軽度の歯周病が進行すると、歯周ポケット4mm以上の中等度になります。

歯周ポケットが通常よりも深くなっているため、歯茎が腫れて赤みや痛みをもち、歯周ポケットの中にも歯石が入り込むようになります。

歯石の入り込んだ場所や深さ、歯周病にかかった歯の数にもよりますが、3割負担の保険治療で10,000円(税込)からが治療費の目安です。

症状が重度に近づくほど、通院回数と費用がかかります。

また、自由診療を選択すると数万円以上がかかることもあります。

重度

重度の歯周病は、すでに歯茎の中まで歯石が付着し、歯茎を切開して汚れを取り除かなければならない状況です。

歯周ポケットは6mm以上の深さになり、歯茎が後退して歯の根元が見える場合もあります。

歯を触ったときにぐらぐらと動揺しているところは、歯茎が歯を支えられなくなっています。

重度の場合は外科的治療を必要とすることが多く、治療費の目安は3割負担で20,000円(税込)前後です。

治療回数や治療する歯の本数によっては、さらに治療費が増える可能性もあります。

歯周病の治療法

歯周病にかかったときに行われる治療法は次のとおりです。

【治療法】

  • 基本治療
  • 外科治療
  • 再生療法
  • レーザー治療

症状が軽度であれば基本治療を中心に行いますが、中等度以上の場合はやむを得ず外科治療を併用することがあります。

どのような治療なのか、詳しく確認していきましょう。

基本治療

基本治療とは、お口の中の確認を行い汚れている部分をきれいにする治療です。

歯垢は柔らかい状態の汚れですが、徐々に硬化して歯石になります。

歯石は歯ブラシやフロスで除去できない硬い汚れのため、基本治療でお口の中をチェックして、歯垢や歯石をきれいに取り除きます。

フロスをかけて歯間を掃除したり、歯科用の電動ブラシで歯を磨いたりする処置も基本治療の一部です。

初期症状である歯肉炎〜軽度な歯周病は、この基本治療を行ってお口の中の状態をみながら、定期検診で健康を維持していきます。

外科治療

外科治療は、中等度以上に症状が進行し、歯周ポケットの深いところまで歯石が付着した場合に、歯石を除去するために行う治療です。

重度になると歯周ポケットが歯の根元付近にまで到達し、そこにも歯石が入り込みます。

歯石の中には歯周病菌が大量に潜んでいるため、放置するほど毒素を出してお口の中の環境を悪化させます。

歯の表面的な治療だけでは根元に入り込んだ汚れは除去しきれないため、歯茎を部分的に切開して歯を露出させ、歯石を取り除く外科的治療が行われます。

再生療法

再生療法は、歯茎や歯槽骨といった歯を支える部分を回復させる治療です。

歯茎や歯槽骨は、一度細菌に侵されると自然治癒することはありません。

そこで、歯茎が下がっている部分や厚みが不足している部分に、他の歯茎から歯肉を移植する治療が行われています。

歯周病菌によって失われた歯槽骨の再生治療も行われています。

歯根にゲルを注入して、骨の再生を目指す方法です。

※再生療法は自費診療が多く、事前に費用を確認する必要があります。

保険適用になる治療は外科治療などに限られます。

レーザー治療

レーザー治療は、歯科用レーザーを照射して歯周病菌を死滅させる方法です。

歯周病菌は目に見えないものですが、放置していると増殖し患部以外の部分にまで範囲が拡がっていきます。

また、歯周ポケットの奥深くに入り込んだものは簡単に取り除けないため、レーザーでアプローチする方法が行われています。

レーザー照射では、歯周病菌が吐き出した毒素にもアプローチします。

菌そのものを減らすだけではなく、歯周病の原因となる毒素も減らして、炎症を鎮める効果が期待できます。

歯周病の予防法

歯周病の予防法は「丁寧なブラッシング」と、「定期健診」の2つです。

どのように予防するべきなのか、確認していきましょう。

①丁寧なブラッシング

歯周病菌は歯の表面だけではなく、歯周ポケットや歯と歯のすき間にも存在します。

そのため、口の中に汚れが残っているとその汚れを養分として増殖し、炎症を引き起こします。

歯周病菌にアプローチするためには、汚れを残さないようにかき出す丁寧なブラッシングが重要です。

歯ブラシを斜めに傾けて、歯茎をマッサージするように軽い力で磨いていきます。

歯の全体ではなく1本ずつ丁寧に磨くようにして、強い力をかけないようにしましょう

力をかけて汚れをかき出そうとすると、歯茎を傷つけてしまいます。

出血やすり傷が表面について、ブラッシングに支障が出ることもあるため、小刻みに動かせる軽い力にとどめてください。

②定期健診

丁寧なブラッシングやうがいを習慣づけていても、虫歯や歯周病を防ぎきることは難しいものです。

お口の中にはさまざまな菌が潜んでおり、歯と歯茎の状態も年齢や生活習慣によって変わっていきます。

かかりつけの歯医者で定期的に健診を受けて、お口の中の健康をチェックすることが大切です。

歯周病を予防するためには、専門医・歯科衛生士による歯茎の健診も欠かせません。

歯茎の腫れや赤みがみられるときに予防のためのアドバイスや治療の提案を行いますので、早期発見・早期治療に繋がります。

すでに歯周病にかかっている方も、治療を開始することで重症化を予防できます。

抜けてしまった歯の治療など、患者さまに合った治療計画を行いますので、定期健診を習慣にしてみてはいかがでしょうか

歯周病治療にかかる費用の目安と期間を確認しよう

この記事では、歯周病の症状と段階、治療にかかる期間や費用について紹介しました。

歯周病は、虫歯と同じく普段から注意して予防しなければならないお口の病気です。

ブラッシングが十分に行き届かない場所から細菌が増殖し、歯茎の炎症が進んでいきます。

不十分なケアに加えて、トラブルに早期対処しないことも症状を進行させる原因です。

放置していると歯茎や骨にトラブルが及び、歯をしっかりと支えられなくなってしまうため、初期症状の段階から対処することが大切です。

初期段階や軽度であれば、費用をかけずにお口の健康が回復できます。

丁寧なブラッシングに加えてこまめに歯科を受診し、定期検診を受けましょう。

この記事を監修した人

日本
口腔外科学会
認定医

木下 恵泉

医療法人Kオールインデンタルクリニック院長
泉の森歯科院長

鶴見大学卒業後、年 町田市民病院に入職。また、赤十字病院や東京医科歯科大学顎顔面外科の勤務を経て、2018年に森の泉歯科の院長に就任。2023年3月に「オールインデンタルクリニック」を開院。

千歳烏山地区の人のために、自分のことのように相手のことを真剣に考え、1人1人に合わせた最善の治療を提案している。

略歴

2005年3月 鶴見大学 卒業
2005~2006年 町田市民病院(歯科口腔外科) 勤務
2006~2007年 武蔵野赤十字病院(歯科口腔外科) 勤務
2007~2011年 東京医科歯科大学顎顔面外科(歯科口腔外科) 勤務
2011~2018年 けやき歯科 勤務
2018年5月 森の泉歯科 院長就任
現在に至る

資格

日本口腔外科学会認定 歯科口腔外科認定医