「歯周病って入れ歯で治療できるの?」「総入れ歯の費用を教えて欲しい」などと考えていませんか。
適切な治療法がわからず不安を抱えている方もいるでしょう。
最初に結論を示すと、歯周病は入れ歯でも治療できます。
歯を失った方は、特徴を理解したうえで検討するとよいかもしれません。
ここでは、歯周病と入れ歯の関係と総入れ歯、部分入れ歯にかかる費用、入れ歯を選ぶ際に意識したいポイントなどを解説しています。
歯周病の治療でお困りの方は参考にしてください。
入れ歯で歯周病の治療は可能?
厚生労働省は、歯周病を次のように定義しています。
歯と歯ぐき(歯肉)の隙間(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こした状態(歯肉炎)、それに加えて歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてグラグラにさせてしまう状態(歯周炎)を合わせて、歯周病といいます。
引用:e-ヘルスネット「歯周病とは」
歯周病の症状は、進行度で異なります。
最初は歯茎が赤くなり腫れる程度ですが、進行すると歯がぐらぐらして、やがては抜け落ちます(あるいは抜歯を必要とします)。失った歯の機能を回復する手段として入れ歯は有効な治療法です。
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入れ歯とは?
入れ歯は、大きく以下の種類に分かれます。
【種類】
- 総入れ歯
- 部分入れ歯
それぞれの特徴は次のとおりです。
総入れ歯
上顎または下顎のすべての歯を失ったときに適応する入れ歯です。
床(義歯床)と人工歯で構成されます。床(義歯床)は、人工歯を支えるピンク色の部分です。
歯茎に吸着して入れ歯のズレなどを防ぐ役割と噛む力を骨に均等に伝える役割などを担います。
床(義歯床)があっていないと、入れ歯が外れやすくなるため注意が必要です。
意識することは少ないですが、非常に重要なパーツと考えられます。
総入れ歯は、保険適用のものと保険適用外のものに分かれます。
保険適用外のものには、複数の選択肢があります。
種類により特徴や費用は異なるため、詳細を理解してから選択することが大切です。
部分入れ歯
部分入れ歯は、上顎または下顎の歯が1本でも残っているときに適応する入れ歯です。
上顎または下顎の歯を部分的に失ったときに適応する入れ歯ということもできます。
部分入れ歯は、床(義歯床)、人工歯、クラスプ、大連結子などで構成されます。
クラスプは、残っている自分の歯に引っ掛けて部分入れ歯を固定するパーツ、大連結子は離れている床(義歯床)と床(義歯床)を連結するパーツです。
部分入れ歯も、保険適用のものと保険適用外のものにわかれます。
保険適用外のものは、装着感がよく噛みやすいなどの特徴を備えます。
一方で、保険適用のものよりも基本的に割高です。
総入れ歯の保険と費用
前述のとおり、総入れ歯は保険適用のものと保険適用外のものに分かれます。
ここでは、それぞれの費用と特徴を紹介します。
保険適用の総入れ歯
保険適用の総入れ歯にかかる自己負担額の目安は10,000~20,000円です(自己負担割合3割の場合)。
製作開始から完成まで2~4週間程度かかります。
保険適用の総入れ歯のメリットは、保険適用外の総入れ歯よりも費用を抑えやすいことです。
不具合が生じたときに修理しやすい点も見逃せません。
一方で、装着感と耐久性は、保険適用外のものより劣る傾向があります。
強度がそれほど高くない材料を使用するためです。
この欠点を補う目的で床を厚くするため装着感が悪くなります。
また、変色しやすい点や臭いがつきやすい点にも注意が必要です。
機能よりも費用を重視したい方に向いているといえるかもしれません。
保険適用外の総入れ歯
保険適用外の総入れ歯には以下の種類などがあります。
【種類】
- シリコン義歯
- 金属床義歯
- インプラント義歯
それぞれの費用と特徴は次のとおりです。
シリコン義歯
床(義歯床)の一部にシリコンを使用した総入れ歯です。
費用の相場は、片顎で25~35万円程度といえるでしょう。
ただし、歯科医院が自由に費用を決定できるため、具体的な金額はケースで大きく異なります。
製作開始から完成までにかかる期間は2~3カ月程度です。
シリコン義歯の主なメリットとして、装着時の痛みが少ない、噛んだときに痛みが生じにくい、しっかり吸着するため外れにくいなどがあげられます。
ただし、使い続けるとシリコンが劣化する点や調整が難しい点には注意が必要です。
金属床義歯
名称からわかるとおり、床(義歯床)に金属を使用した入れ歯です。
具体的には、コバルトクロム・チタンなどの金属を使用します。
費用の相場と特徴は金属の種類で異なります。
詳細は以下のとおりです。(具体的な費用はケースで異なります)
金属の種類 |
費用 |
特徴 |
コバルトクロム |
30~45万円 |
<ul> <li>金属床義歯の中では費用を抑えやすい</li> <li>金属アレルギーを起こす恐れがある</li></ul> |
チタン |
40~55万円 |
<ul> <li>軽量かつ丈夫</li> <li>金属アレルギーを起こしにくい</li> <li>加工が難しい</li> </ul> |
金属床義歯全般で考えると、食べ物の温度を感じやすい、適切なメンテナンスを行えば長期間使用できるなどのメリットがあります。
インプラント義歯
顎の骨に埋入した2~6本の人工歯根を土台にして人工歯を固定する入れ歯です。
費用の相場は、200~400万円程度といえるでしょう。
人工歯根の埋入に100~200万円程度、人工歯の製作に100~200万円程度かかります。
ただし、歯科医院が料金を自由に決定できるため、具体的な金額はケースで大きく異なります。
インプラント義歯の主なメリットは、自分の歯に近い感覚で噛めることと顎の骨が痩せにくいことです。
一方で、高額な費用がかかります。インプラントの埋入に外科手術を要する点にも注意が必要です。
メリットとデメリットを理解してから選択しましょう。
部分入れ歯の保険と費用
部分入れ歯も、保険適用のものと保険適用外のものにわかれます。
ここでは、これらの費用と特徴を解説します。
保険適用の部分入れ歯
保険適用の部分入れ歯を製作する際にかかる費用の目安は5,000~15,000円程度です(自己負担割合が3割の場合)。
総入れ歯よりも安価で製作できます。使用する主な材料は、人工歯と床(義歯床)がアクリルレジン、クラスプが金属です。
主なメリットとして、保険適用外の部分入れ歯より安価、自分でメンテナンスを行えるなどがあげられます。
ただし、クラスプに金属を使用しているため、装着する部位によっては目立ちます。
また、ある程度の厚みを必要とするため、装着時に違和感を抱くケースが少なくありません。
これらの点が気にならない方に向いている部分入れ歯といえるでしょう。
保険適用外の部分入れ歯
保険適用外の部分入れ歯には以下の種類などがあります。
【種類】
- シリコン義歯
- 金属床義歯
- アタッチメント義歯
- ノンクラスプデンチャー
それぞれの費用と特徴は以下のとおりです。
シリコン義歯
床(義歯床)と歯茎が触れる部分にシリコンを使用している部分入れ歯です。
費用の目安は10万円程度~といえるでしょう。4歯以上の場合は40万円程度かかります。
ただし、自由診療に該当するため、具体的な費用は歯科医院で異なります。
シリコン義歯の魅力は、噛んだときに痛みが生じにくいことです。
吸着性が高く、外れにくい点も魅力です。ただし、シリコンに汚れが付着しやすいと考えられています。
こまめなメンテナンスが必要といえるでしょう。経年で劣化する点や修理が難しい点にも注意が必要です。
金属床義歯
床(義歯床)の材料に金属を使用する部分入れ歯です。
強度の高い金属を使用するため、保険適用外の部分入れ歯より薄く作れます。
違和感を抱きにくい、話しやすいなどの強みがあります。
耐久性に優れる点も魅力です。
ただし、保険適用外の部分入れ歯より費用がかかります。
材料別の費用の相場と特徴は次のとおりです。
金属の種類 |
費用 |
特徴 |
コバルトクロム |
20~45万円 |
<ul> <li>費用を抑えやすい</li> <li>金属アレルギーを起こすことがある</li> </ul> |
チタン |
30~55万円 |
<li>軽く熱を伝えやすい</li> <li>金属アレルギーを起こしにくい</li> <li>加工の難易度が高い</li> </ul> |
金属床義歯の費用、特徴は材料によって異なります。使用する材料について理解を深めておくことが大切です。
アタッチメント義歯
残存歯と人工歯に組み込んだアタッチメントで固定する部分入れ歯です。
費用はアタッチメントの種類や失った歯の本数で異なります。
一般的な相場は20~60万円程度といえるでしょう。
アタッチメント義歯のメリットは、クラスプが不要になることです。すっきりとした見た目を維持できます。
違和感の少なさや安定感の高さも魅力です。ただし、歯の清掃が難しくなることがあります。
また、磁石で義歯を固定する磁性アタッチメント義歯はMRIに注意が必要です。
磁石を含むため、撮影前に人工歯側のアタッチメントを外さなければなりません。
残存歯側は磁石を含みませんが、MRIの磁力で外れる恐れがあります。
撮影前に、アタッチメント義歯を装着していることを伝えておきましょう。
ノンクラスプデンチャー
クラスプの代わりに、歯茎とよく似た色の樹脂を使用する部分入れ歯です。
費用は失った歯の本数で異なります。目安を示すと10~40万円程度といえるでしょう。
ノンクラスプデンチャーの主なメリットは、歯茎とよく似た色の樹脂を使用するため目立ちにくいことです。
笑うとクラスプが気になる方などに向いています。
違和感が生じにくい点、周囲の歯に負担をかけにくい点、金属アレルギーのリスクがない点も魅力です。
ただし、ノンクラスプデンチャーの寿命は、3~5年程度と考えられています。
作り直しが必要になるため、割高になる恐れがあります。
適応できる症例が限られている点にも注意が必要です。
入れ歯を選ぶ際のポイント
ここからは、入れ歯を選ぶときに意識したいポイントを解説します。
費用
入れ歯の種類によりかかる費用は大きく異なります。
保険適用の総入れ歯にかかる費用は10,000~20,000円程度、インプラント義歯にかかる費用は200~400万円程度です。
保険適用外の入れ歯は、保険適用の入れ歯より高額になる傾向があります。
作り直しにかかる費用についても同じことがいえます。
総入れ歯、部分入れ歯は、予算にあわせて選ぶことが大切です。
入れ歯の種類と特徴
ここまで見てきてわかるとおり、入れ歯にはさまざまな種類があります。
種類により特徴は異なります。
たとえば、保険適応の入れ歯は安価ですが、着け心地や見た目はあまりよくありません。
これに対して、金属床義歯は違和感の少ない着け心地といわれています。
種類ごとの特徴を理解してから、総入れ歯や部分入れ歯を選ぶことも大切です。
医師へ相談
入れ歯の種類によって、向いているケース、向いていないケースは異なります。
自分だけで最適な選択をすることは難しいかもしれません。
自分に合っているものを見つけたい方は主治医に相談しましょう。
希望を踏まえたうえで、適したものを提案してくれるはずです。
入れ歯以外の治療方法
歯周病で歯を失った場合、以下の治療法も検討できます。
ブリッジ
失った歯の両端にある歯を土台にして人工歯を被せる治療です。
自然な見た目を実現できる点と入れ歯よりしっかり噛める点が魅力です。
ただし、治療の過程で土台になる歯を削ります。
健康な歯に大きな負担をかける恐れがあるため注意が必要です。
費用の目安は10,000~30,000円程度といえるでしょう(保険適用、自己負担3割の場合)。
インプラント
顎の骨に埋め込んだ人工歯根に人工歯を取り付ける治療です。
自分の歯と大きく変わらない噛み心地を実現できるうえ審美性にも優れます。
適切なメンテナンスを心がければ長く使い続けられる点も魅力です。
ただし、顎の骨の状態によっては希望しても治療を受けられないことがあります。
1本あたり30~50万円程度の費用がかかる点にも注意が必要です。
詳細を確かめてから選択しましょう。
歯周病治療で総入れ歯を作るときは費用などを確認
ここでは、歯周病と入れ歯の関係、総入れ歯と部分入れ歯の費用などについて解説しました。
入れ歯は歯周病の治療法になりえます。
かかる費用は、保険適用のものと保険適用外のもので大きく異なります。
同様に機能性や審美性も異なるため、検討している入れ歯の特徴を理解してから選択することが大切です。
入れ歯の選択で悩む方は、歯科医師に相談するとよいでしょう。
お口の状態に合わせた選択肢を提示してくれます。
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この記事を監修した人
日本
口腔外科学会
認定医
木下 恵泉
鶴見大学卒業後、年 町田市民病院に入職。また、赤十字病院や東京医科歯科大学顎顔面外科の勤務を経て、2018年に森の泉歯科の院長に就任。2023年3月に「オールインデンタルクリニック」を開院。
千歳烏山地区の人のために、自分のことのように相手のことを真剣に考え、1人1人に合わせた最善の治療を提案している。
略歴
2005年3月 鶴見大学 卒業
2005~2006年 町田市民病院(歯科口腔外科) 勤務
2006~2007年 武蔵野赤十字病院(歯科口腔外科) 勤務
2007~2011年 東京医科歯科大学顎顔面外科(歯科口腔外科) 勤務
2011~2018年 けやき歯科 勤務
2018年5月 森の泉歯科 院長就任
現在に至る